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zoom RSS 小説「造花の蜜」 連城三紀彦/著 感想

<<   作成日時 : 2009/05/17 22:48   >>

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賞は受賞していなくとも、方々で絶賛されていたので読んでみました。

あらすじ
≪造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…その二月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに…あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった―。 ≫




いやいやいや、これは凄いわ〜! というのが、読後の率直な感想です。

次から次へと畳み掛けるようにいろんな事が起きて、その都度読者にも驚きを与え、
なになに?どうなってんの?と考えているうちに話はどんどん先に進み、
犯人の大胆に見えて、その実、綿密に計画された罠に、
気が付けば、被害者家族も警察もさらには共犯者も、そして読者も、
巧みに騙され引っ掛かっているという、本当に凄い作品です。

誘拐もののミステリーって、
ミステリーとしての面白さと共に、成功することを想定したそれなりのリアリティが必要だと思うけど、
しかしながら、実際の身代金目的の誘拐事件が、ほぼ100%成功しないという事実もあることから、
ミステリーの題材として扱うには、かなり高度で難しいものだと思います。
けど、この作品で描かれる誘拐劇は、複雑な人間関係が必要というのはありますが、
もしかしたら成功すんじゃないかという確かなリアリティと、渋谷の交差点を舞台にした大胆な受け渡し、
そして誘拐事件の裏に隠れた、もうひとつの誘拐事件の存在と、ミステリーとしても存分に楽しませてくれました。

そしてそして、一つの誘拐事件が完結したと思ったら、なんと最後の章でさらに驚きの誘拐事件がもう一つ。
前章で描かれた誘拐事件を、一年後同じ犯人が踏襲しているということで、
次はどんな展開を見せるんだろうとワクワクしながら読んでましたが、
…これは本当に、見事にやられました。
読者も騙されるような、作者からの驚愕の罠…。
最初から読んできた誘拐事件さえも、まるで終章の伏線であるかのように思えてしまうほどの大仕掛け。
ラストのこの展開は本当に凄いと思うし、最高に面白いです。

途中まで、これは映像化したら面白そうだなぁなんて思いましたが、
最後の章は、ちょっと映像化不可能かもしれませんね。
文章だから出来るトリックなので。

お腹一杯になるほど、存分にミステリーを味わえる小説です。
昨年の10月31日という刊行時期の問題で、様々なミステリーランキングには入っていませんが、
間違いなくミステリー小説としては傑作に入ると思います。

ただ、完璧かと言われれば、腑に落ちない点もあるにはあります。
犯人の本当の正体、共犯者の正体が最後まで明かされないことにはやや不満を感じました。
けど、そんなことさえも凌駕するほどの面白さが、この作品にはありました。

評価:★★★★★






造花の蜜
角川春樹事務所
連城 三紀彦


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